遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

ギヨーム・パンジェ 太平洋管区統合司令官(海軍少将)

2024年12月17日
来日中のフランス軍で太平洋地域を管轄するギヨーム・パンジェ太平洋管区統合司令官(海軍少将)は、原子力空母シャルル・ドゴールが11月28日、5ヵ月にわたる太平洋航行を含む任務で本国南部トゥーロンを出港し、艦隊の一部が来年2~3月に沖縄に寄港すると明らかにした。フランス海軍による太平洋への空母展開は、1968年の通常動力空母「クレマンソー」以来、57年ぶりとなる。

パンジェ司令官は、原子力空母「シャルル・ドゴール」を中心とした空母打撃群が2025年にインド太平洋地域に派遣される「クレマンソー25」の主な任務の目的として4つを挙げた。1.国際貿易の生命線であり、重要な紅海とアラビア湾での各国とヨーロッパの作戦に貢献し、これらの地域の海上安全保障を強化すること。2.インド太平洋地域でのパートナーと同盟国との合同訓練を発展させること。3.自由で開かれ、安定した国際法を遵守するインド太平洋地域を促進すること。4.インド太平洋地域に領土を持つ主権国として、フランス人とフランスの利益を保護することに貢献すること。

シャルル・ドゴール空母打撃群(GAN)は、空母シャルル・ドゴールを中心に編成された海軍と航空部隊全体を指す。この部隊はフランスの重要な戦力投射能力と迅速な介入能力を体現し、フランスの核抑止戦略にも寄与する。シャルル・ドゴールとその艦載航空部隊を中心に編成された海空統合部隊で、艦載航空部隊にはラファールM戦闘機、E-2Cホークアイ早期警戒機、ヘリコプターが含まれる。また、対潜戦と対空戦に特化したフリゲート艦群による護衛部隊、攻撃型原子力潜水艦、補給艦も含まれる。

フランスは南太平洋にニューカレドニア、ウォリス・フツナ、仏領ポリネシアなどの領土を有しており、中国の同地域への影響力拡大に懸念を強めている。昨今、ニューカレドニアではフランスからの独立を問う住民投票が実施され、反対派が過半数を占める結果になっているが、今後も実施される予定でフランスはその動向を注視している。フランスのなかには、独立派が多数になった場合の中国の出方を警戒している。

今年5月19日から22日にかけて、インドネシアのスマトラ島沖のベンガル湾で、日本と米国、フランス、オーストラリアの4ヶ国が参加した合同軍事訓練「ラ・ペルーズ(La Perouse)」が初めて実施された。日本の海上自衛隊からは、ヘリコプター搭載護衛艦いずも(DDH-183)と汎用護衛艦むらさめ(DD-101)が参加し、米海軍からはミサイル駆逐艦ウィリアム・P・ローレンス、フランス海軍からは空母シャルル・ド・ゴール(R91)などが参加した。

パンジェ司令官はフランス海軍と中国海軍との合同軍事演習については「防衛の分野では、フランスと中国の関係は非常に限定的であり、協力活動は予定されていない」と述べたうえで「フランスの規定では中国との対話を維持することを義務付けており、私が参加する地域のフォーラムでそのような活動をしている」と述べた。


■ ギヨーム・パンジェ
フランス海軍少将 / FR PACOM / 仏太平洋管区司令官 / Rear admiral, FR PACOM,Commander French Pacific Command