遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

泉徳治 元最高裁判事

2025年04月22日
弁護士の泉徳治元最高裁判事は、刑事裁判の遅れなどが問題化したために1953年3月 内閣が裁判所法改正案を国会に提出し、衆院解散で廃案になったことについて「今も抱える問題を浮き彫りにしている」の述べた。

法案は最高裁の裁判官を15人から9人に減らし、憲法違反や判例変更などの重要事件に専念させ、通常の刑事や民事の事件は最高裁の下に置く6つの小法廷で扱うという内容で、9人の裁判官が1年中、憲法問題だけに取り組むことができる内容であった。

泉元最高裁判事は具体的ケースとして「衆院選挙区で2倍以上の投票価値の格差を合憲としている」「被告人が否認すると保釈をほぼ認めないなど刑事手続きの国際水準化に消極的」「夫婦同氏制を合憲としている」ことを挙げ、「最高裁は違憲審査を活性化させ、人権を制約する立法などを監視する役割を果たすべきだ」と強調した。

また、司法の場で国際人権条約を適用できるようにすることも課題であると指摘し「国際人権条約は上告理由にあたらないとして判決で適用せず、人権条約はあってなきがごとし」と指摘した。

泉元最高裁判事は、①訴訟法を改正して条約違反を上告理由とする、②人権を侵害された個人や集団が国連機関に直接救済を求めることができる「個人通報制度」を採用することで「裁判官が、国際的な人権基準に目を向けるようになる」と語った。


■ 泉徳治
61年最高裁判所司法研修所入所、63年東京地方裁判所判事補70年ハーバード・ロー・スクール卒業(LL.M.)、73年金沢地方裁判所判事、75年最高裁判所人事局任用課長、79年東京地方裁判所判事、82年東京地方裁判所部総括判事、83年最高裁判所調査官、86年最高裁判所秘書課長兼広報課長、88年最高裁判所民事局長兼行政局長、90年最高裁判所人事局長、94年 最高裁判所事務次長、95年浦和地方裁判所長、96年最高裁判所事務総長、00年東京高等裁判所長官、02年最高裁判所判事、09年東京弁護士会登録、09年TMI総合法律事務所顧問弁護士。10年旭日大綬章受章。