遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

アントニオ・グテーレス 国連事務総長

2025年06月18日
ヘイトスピーチは、社会という井戸に落とされた毒のようなものです。それは、人類の歴史に刻まれた数々の暗黒の章において、暴力や残虐行為につながる道をつくってきました。民族的・宗教的少数者はその矢面に立たされることが多く、差別や排除、危害に直面してきました。

今年のテーマが再認識させてくれるように、現代においてヘイトスピーチは人工知能(AI)によって増幅され、かつてないほど急速かつ広範囲に拡がっています。バイアスのかかったアルゴリズムやデジタルプラットフォームが、有害なコンテンツを拡散し、ハラスメントや虐待の新たな空間を生み出しているのです。

「未来サミット」で採択された「グローバル・デジタル・コンパクト」は、オンライン上の憎悪に対処するために、人権と国際法に根差したより強力な国際協力を求める、今後の道筋を示しています。

憎悪の声を消し去るためには、各国政府、市民社会、民間企業、宗教・コミュニティー指導者たちなど、あらゆるレベルでのパートナーシップが必要です。ポジティブなメッセージを携えて有害な言説に対抗し、人々をエンパワーメントすることによりヘイトスピーチを認識し、拒絶し、それに立ち向かわなくてはなりません。「ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画」は、その指針となります。

私が昨年立ち上げた「情報の誠実性のための国連グローバル原則」もまた、より安全でより人間的な情報エコシステムを推進する中で、こうした取り組みを支援し、情報を提供しています。

国際デーを迎えるにあたり、AIを憎悪のツールではなく、世の中のためになる力として利用することを決意しようではありませんか。すべての人々にとっての平和、相互尊重、理解を目指し、共に団結しようではありませんか。


■ アントニオ・グテーレス
ポルトガルの政治家。第9代国際連合事務総長。同国の首相や社会主義インターナショナル議長、国連難民高等弁務官(UNHCR)等を歴任。96年ブラジル南十字星勲章大十字、97年ポーランド共和国功労勲章大十字、98年ウルグアイ東方共和国勲章大将校、99年メキシコアステカの鷲勲章特別懸章、00年ベルギーレオポルド勲章大綬章、スペインカルロス3世勲章大十字、ギリシャ名誉勲章大十字、01年イタリア共和国功労勲章大十字、01年チリ功労勲章大十字、カーボベルデアミルカル・カブラル勲章1級、16年ポルトガル自由勲章大十字、02年スペインイザベラ・カトリック女王勲章頸飾、ポルトガルキリスト勲章大十字、フランス国家功労勲章大十字、ポルトガル南十字星勲章大頸飾、日本旭日大綬章、チュニジア共和国勲章大綬章、イタリアヤロスラフ賢公勲章1等等を受章。