遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

澤田秀雄 エイチ・アイ・エス会長・社長

2017年03月08日
ハウステンボスで、ロボットが接客することで話題のホテル「変なホテル」を経営する澤田秀雄エイチ・アイ・エス会長・社長は、2軒目の千葉・舞浜、3軒目の名古屋での開業を計画し、海外へ進出するとした。全世界1000軒の目標に向け、まずは第1フェーズとして100軒の開業を目指すとした。

会長・社長の澤田秀雄氏は、「最も重視したのは世界一生産性の高いローコストホテルを作ること」と、滞在の快適性と世界最高の生産性を両立し、3~4つ星ホテルのサービスでありながら宿泊料金の低価格化を目指すホテルだと語った。

世界初として話題となったロボットホテルや自動化システムはそのためのもので、このほかにも省エネルギー化を踏まえた特殊工法や水素エネルギー発電、輻射パネルによるエアコンなしの空調などを導入。正式名称「変なホテル~変わり続けることを約束するホテル~」の通り、常に新しいテクノロジーを取り入れ、ベストな姿に向かって絶えず変化していくことがコンセプトだ。そのため、ハウステンボスの「変なホテル」では実証実験の場として、あらゆるテクノロジー活用を進めている。

澤田氏は、ロボット導入をすることで、生産性の向上強調し。当初30人のスタッフ数は開業1か月後には16人に削減し、2015年内には10人と3分の1にまで削減した。2016年3月の第2期棟オープンで客室数が倍増してもスタッフ数は増やしておらず、「生産性は倍以上になった」とアピールした。ほぼ9割の業務をロボット(テクロノジー)が行なっている。シフトや休日を踏まえると実質のスタッフ数は1、2人となる。

フロントシステムでは、ロボットを2体から3体に増加。対応言語も日・英の2か国語から韓・中を含む4か国語に広げた。最大の変化は、日本人は音声認証を可能とし、宿泊者カードを紙から電子化したこと。また、客室のカードキー及び顔認証開錠の登録も、フロントエリアから客室前登録に変更した。これにより、チェックインの所要時間は1~2分程度かかっていたのが40秒に短縮し、4割程度効率化できたとする。

現在はパスポートデータを活用したチェックインシステムを構築中であるほか、スマートフォンでの予約時に顔認証登録することで、顔認証チェックインを実現する計画も明かした。実現すれば所要時間は10~15秒程度になる見込みで、必要業務の時間が短縮された分はフロントロボットとの会話など、チェックインが楽しくなるようなエンターテイメント性を高めていく。コンシェルジュロボットのAI(人工知能)対応実験も開始する。

一方、運営の結果、効果の少ないものは導入をやめたり、当初の構想から変えることもある。例えば空調は風通しの良い設計と輻射パネルで室温を快適に保つ試みであったが、現在はエアコンを設置し、輻射パネルとのハイブリッド運用にした。これが光熱費の削減と快適の滞在の実現にはベストと判断した。

実際の予約状況は開業1年後も好調で、昨年夏はほぼ100%に近い高稼働。年間20%の高い利回りを実現している。この1年の実績と進捗状況から澤田氏は、「サービス、クオリティ、生産性は十分世界展開に耐えうるものになってきた」とし、ハウステンボス以外での本格展開に自信を示した。

■ 澤田秀雄
51年大阪府生まれ。73年旧西ドイツ・マインツ大学経済学部留学。在学中、世界50カ国以上の旅行。76年帰国、旅行会社インターナショナルツアーズ新宿開業。90年社名をエイチ・アイ・エス(H.I.S.)に変更。95年3月店頭公開。96年オーストラリアゴールドコーストにホテルをオープン。98年航空会社スカイマークエアラインズ(現:スカイマーク)就航。99年協立証券の株式取得し、エイチ・アイ・エス協立証券(現:エイチ・エス証券)代表取締役社長。03年モンゴルAG銀行(現:ハーン銀行)取締役会長。04年エイチ・エス証券を大証ヘラクレスに上場。現在、澤田ホールディングス株式会社代表の他、経団連理事、経済同友会幹事などを兼任。