遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

加藤寛幸 国境なき医師団日本会長

2017年04月28日
「国境なき医師団日本」の会長の加藤寛幸医師は、「病院は本来、負傷者や病人を癒し、命を救う『世の中でもっとも安全であるべき場所』です。たとえ紛争下であっても、医療施設や医療従事者、患者を攻撃対象とせず、医療活動を保護することは、国際人道法でも定められた国際的なルールです。クンドゥーズの事件当時、日本でも報道がなされましたが、なぜ病院が攻撃されてはならないのか、またこうした事態が世界の紛争地で続いていることが広く認識されているとは言えません」と強調した。

アフガニスタンのクンドゥーズで2015年10月3日、国境なき医師団(MSF)が運営する病院が米軍の爆撃を受けた。患者と係員を合わせた死者数は42人にのぼり、施設が破壊されたことで約100万人の住民が医療を受ける機会を失った。

国連安全保障理事会は「紛争地における医療援助や活動の保護に関する決議」を2016年5月に採択。同年9月には、潘基文国連事務総長が決議の遵守を求める提言を行った。にもかかわらず、紛争地では病院が爆撃を受ける現実がある。医師団は、その現状を知ってもらうため、世界横断的な活動に取り組み始めた。

その一環として10月に東京で開いた展覧会では、医師やスタッフが現地の惨状を報告する場が用意された。実際に爆撃の現場に居合わせた看護師は、「花火のような音がして、地震のような地響きと衝撃だった」「病院の屋根には医療機関だという印があるのに、爆撃を受ける。地下に武器があると思われているのか」と訴えた。

加藤寛幸会長は、『誤爆』という言葉で片付けられているが、受けた人の立場でいうと『誤った爆撃』ではすまされない。誤った、故意ではなかったなどということは関係なく、人々は言葉も発っせないまま消えてしまう。日本も国際社会の中で『加害者』という側面があるともいえる。楽観的無関心主義から一歩踏み出して、助ける側にいけなくても加害者にならないようにするために多くの人に現状を知ってもらい、声を上げてもらいたい」と述べた。


■ 加藤寛幸
65年生まれ、東京都出身。92年島根医科大学卒業、01年タイ・マヒドン大学熱帯医学校・熱帯医学ディプロマ取得 、03年MSF医療・人道援助活動参加、スーダン・ミゴマ(ハルツーム):孤児院小児科医療、05年インドネシア・アロール島:感染症緊予防接種、パキスタン・バグ:パキスタン北部地震緊急救助、11年宮城県:東日本大震災緊急救助、12年MSF日本副会長就任、14年南スーダン・アウエェイル:新生児含む小児科医療、14年シエラレオネ・カイラフン:エボラ出血熱対策、15年アフガニスタン:新生児含む小児科医療、16年熊本県:熊本地震緊急救助、17年週間朝日「2017年を元気にする100人」に選定。東京女子医大病院小児科、国立小児病院・手術集中治療部、Children\\\'s Hospital at Westmead(Sydney Children\\\'s Hospital Network)・救急部、長野県立こども病院・救急集中治療科、静岡県立こども病院・小児集中治療科、同・小児救急センターに勤務。