遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

赤根智子 国際刑事裁判所(ICC)所長

2026年08月26日
国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長は、米国のトランプ政権から経済制裁措置を受けている現状について「私個人が制裁を受ける理由は全くない。ICCが国家主権を奪ってきたという米側の主張に加担した事実はない」と強く反論した。「ICCは決して負けない。正義は常にこれと対局にあるものに優越する」と述べ、毅然とした態度で職務を全うする決意を語った。

ICCはオランダ・ハーグに本部を置く常設の国際刑事法廷で、戦争犯罪やジェノサイド(集団虐殺)などに関与した指導者らを裁く。日本を含む120超の国・地域が加盟している。一方、米国、ロシア、中国、イスラエルなどはICCの加盟国ではない。特に米国やロシアは、自国の軍人や指導者がICCに裁かれる可能性を強く警戒している。トランプ米政権が赤根所長らICC幹部に対して米国内の資産凍結や金融取引の禁止といった経済制裁を科しているのは、自国や同盟国であるイスラエルへの捜査・訴追に対する強い反発が背景にある。

赤根所長は、既に自身のクレジットカードが利用できなくなるなど、国際的な金融取引から排除され、実生活に具体的な不利益が生じていることを明かした。その上で、今回の制裁はICC単体の問題にとどまらず、国際社会における「法の支配の危機」であると強い懸念を表明した。

一方、日本国内では政府の初期対応が「大変残念」との言及にとどまっていたことから、与野党の超党派議連や国際人権団体から「諸外国と比べて弱腰だ」との批判が噴出していた。これを受け、高市早苗首相は25日「日本は国際社会における法の支配を一貫して重視しており、今回の措置は日本の立場と相いれるものではなく、大変深刻に受け止めている」と明言した。従来の表現から踏み込んで強い危機感を表明し、ICCおよび赤根氏への明確な支持と必要な支援の継続を示した。高市首相はさらに、弱腰批判に対し「批判は当たらない」と反論し、米国に対して制裁対象としないよう「さまざまなレベルでぎりぎりまで働きかけを続けてきた」と強調した。また、1月の段階で赤根所長と面会し、金融取引の不利益に備えたアドバイスを親身に行ってきたことも明かした。

赤根所長はこの高市首相の見解について「私やICCに大きな力を与えてくれるものとしてありがたい。正しい評価をいただいた」と深い謝意を伝えた。日本政府に対しては、唯一の同盟国という立場を活かして米国との対話を継続し、制裁のさらなるエスカレーションを防ぐことを要望した。さらに、米国が他の加盟国に脱退を呼びかけている喫緊の状況を踏まえ、「弱い立場にある国が脱退に追い込まれないよう、日本がリードして引き止める役割を果たしてほしい」と、国際社会を牽引する強いリーダーシップへの期待を示した。


■ 赤根智子
80年東京大学法学部卒業、82年検事に任官(横浜・津・名古屋・仙台地検などを歴任)、89年米ジャクソンヴィル州立大学大学院へ私費留学(1990年刑事司法修士号取得)、96年法務省UNAFEI教官、00年札幌地方検察庁公判部長、02年法務省UNAFEI次長、05年法務省法務総合研究所国際協力部長(名古屋大・中京大教授を兼任)、09年法務省法務総合研究所国連研修協力部長兼UNAFEI所長、10年函館地方検察庁検事正(女性初)、12年最高検察庁検事兼ICC不処罰対策基金理事、14年法務省法務総合研究所長(女性初)、16年最高検察庁検事兼外務省国際司法協力担当大使、18年国際刑事裁判所(ICC)裁判官(予審裁判部、ダルフール紛争等担当)、24年日本人初となる第6代国際刑事裁判所(ICC)所長(上訴裁判部、現職)。