遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

阿南英明 神奈川県立病院機構理事長、日本災害医学会理事

2026年09月07日
日本災害医学会理事で神奈川県立病院機構の阿南英明理事長は「令和8年(2026年)熊本地震から見える保健医療福祉分野の支援体制の現状と生活支援体制の課題」について、直近の災害対応の成果と今後の課題について提言した。

阿南理事長は「今回の地震においては、DMATの指揮運営や保健医療調整の仕組みが大幅に進化しており、発生直後から迅速かつ組織的な初期医療支援が展開できた」と述べ、これまでの大規模災害で培った教訓が現場で確実に生かされている点を評価した。

一方で、最大の焦点として浮き彫りになったのが、救急医療が主体の「急性期」から、避難所支援などが中心となる「亜急性期」への移行局面における課題だ。阿南理事長は「被災者の避難生活が長期化するにつれ、エコノミークラス症候群や慢性疾患の悪化、精神的ケアといった『生活支援』へのニーズが急速に高まる」と述べたうえで、「現場では、医療・保健・福祉の各分野が一体となった連携が必ずしも機能しきれず、マンパワー不足や組織間の縦割りの弊害が露呈した」と指摘。活動チームが入れ替わり、この過渡期に生じる支援の隙間を問題視した。

阿南理事長は「災害医療の本質は、防げる死を防ぐことにある」と強く訴え、医療処置だけでなく、被災者の生活環境そのものを支える福祉的なアプローチとの融合が不可欠であると言及した。今後に向け、医療・保健・福祉が一体となったシームレス(途切れのない)な生活支援体制を平時から構築することが急務であると強調した。

救急医学および災害医学の第一人者である阿南理事長は、東日本大震災(2011年)や2016年の熊本地震、2024年の能登半島地震などの主要な被災地で災害派遣医療チーム(DMAT)の指揮運営にあたり、新型コロナウイルス禍では神奈川県の医療危機対策統括官として医療行政を主導した経歴を持つ。今年7月に発生した「令和8年熊本地震」においても、全国から現地へ投入されたDMATの活動を統括・差配し、その動向を多角的に分析してきた。


■ 阿南英明 
91年新潟大学医学部卒業。藤沢市民病院内科研修医、11年東日本大震災に際し、災害派遣医療チーム(DMAT)リーダー、12年藤沢市民病院 救命救急センター長、16年熊本地震(4月発生)に際し、DMAT指揮運営、19年藤沢市民病院副院長、20年2月クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」新型コロナウイルス集団感染対応に際し、神奈川DMAT調整本部長、神奈川県健康医療局医療危機対策統括官(県理事)、24年1月能登半島地震に際し、DMAT指揮運営、地方独立行政法人神奈川県立病院機構理事長(現職)。