遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

ジブリール・ラジューブ・ファタハ 中央委員会事務局長

2026年10月19日
パレスチナ自治政府の主流派「ファタハ」の最高意思決定機関である中央委員会のジブリール・ラジューブ事務局長は、停戦合意から1年が経過したパレスチナ情勢について言及し、中東和平プロセスを前進させるためには「日本政府による今すぐのパレスチナ国家承認が必要だ」と強く訴えた。また、ヨルダン川西岸地区で拡大するイスラエル人入植者による暴力を非難し、日本に対し入植者や関連組織への強力な制裁措置を導入するよう求めた。

ラジューブ局長は、ヨルダン川西岸や東エルサレムでイスラエルが違法な入植地の拡大と併合を進めている実態について「イスラエル政府はガザ地区で住民を窒息させ、西岸地区でも同様の強制移住を狙う方針をとっている」と指摘し「入植化政策を続ける限り、現在のイスラエルは平和共存を目指す『2国家解決』のパートナーにはなり得ない」と切り捨てた。その上で、英国などの欧州諸国やカナダが、西岸の入植地で生産された物品の貿易制限に踏み切った動きを評価。日本政府に対しても「テロ攻撃を行う入植者や、それを支援する組織への制裁措置に加わるべきだ」と言及し、具体的な外交圧力を迫った。

和平プロセスの最大の焦点であるガザ地区の統治とイスラム組織ハマスの武装解除を巡り、ラジューブ局長は「先週から、エジプトの仲介によってハマスや他の諸派との対話を本格的に開始した」と明かした。パレスチナ自治政府を主導するファタハとして、ハマスの武装解除に積極関与する姿勢を明確にした。

ラジューブ局長は「不法な兵器や民兵の存在は認められない」と強調しつつ「『一つの政府、一つの法制度』という原則の下、全ての派閥が共通の基盤に立って国家づくりを進めることを望む」と述べ、パレスチナ内部の統合と内政改革への意欲を示した。

一方で、米国(トランプ政権)主導で進められているガザ地区の暫定自治機関「平和評議会」の構想については、「パレスチナ人を全く代表しておらず、これまで何一つ達成していない。劇的な変化を起こす道筋さえつけられていない」と厳しく批判した。

2026年11月に予定されていた議長選および国会(立法評議会)選が2027年9月へと大幅に延期された問題については「イスラエルによる度重なる障壁と、選挙手続きに関する国民的な合意が十分に形成されていなかった」と釈明。現地の不安定な治安情勢や準備期間の不足が原因であるとし、早期実施に向けて諸派間およびイスラエル側との建設的な対応が必要であるとの認識を示した。

また、今月27日に投開票を控えるイスラエル総選挙にも触れ、「(対話が可能な)合理的な人物が率いる新政権が誕生し、パレスチナ人への一方的な攻撃を見直すことを期待する」と言及した。

ラジューブ局長はパレスチナオリンピック委員会委員長やサッカー協会(PFA)会長を兼任しており、都内で開かれるアジアサッカー連盟(AFC)主催の会議に出席するため来日し、19日午前、中曽根康隆外務副大臣を表敬訪問した。中曽根副大臣は日本の「二国家解決」への一貫した支持を再確認する一方で、パレスチナの選挙延期については「民主制度の確立に向けた歩みとして、極めて残念だ」と懸念を伝えた。会談では、ラジューブ氏からアッバース・パレスチナ大統領発、高市早苗内閣総理大臣宛ての親書が手渡された。

日本政府によるラジューブ局長の公式受け入れに対し、駐日イスラエル大使館はSNS上で抗議声明を発表し「過去に暴力を正当化する発言を行ってきた人物を公式に受け入れることは、過激主義を正当化することになりかねない」として不快感を表明しており、今回の来日を巡り日・イスラエル間の外交的摩擦も表面化している。


■ ジブリール・ラジューブ・ファタハ
67年ファタハ活動家(獄中にて勧誘され加入)、70年服役囚(イスラエル軍への襲撃関与で終身刑、のち捕虜交換で釈放)、88年ファタハ幹部(アブー・ジハード顧問など、レバノン・チュニジアへの亡命期)、94年パレスチナ自治政府ヨルダン川西岸地区予防保安隊初代長官、03年パレスチナ自治政府議長(アラファト)国家安全保障顧問、06年パレスチナサッカー協会(PFA)会長、08年パレスチナオリンピック委員会(POC)会長(委員長)、09年ファタハ中央委員会副事務局長、17年ファタハ中央委員会事務局長(2026年6月再選)。