文部科学省の前川喜平前事務次官は、学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る問題に関し「第三者の高い組織で検証される必要がある」との考えを明らかにした。安倍晋三首相が丁寧に説明すると19日の記者会見で表明していることを踏まえ、首相に「先頭に立って説明責任を果たしてほしい」と訴えた。

文科省が20日に公表した萩生田光一官房副長官の「発言概要」とされる文書に関しては「ほぼ事実だと思う」と表明した。萩生田氏に関しては「何らかの関与があった可能性が高い」との見方を示した。

獣医学部新設のキーパーソンは誰かとの問いには、和泉洋人首相補佐官ではないかと答えた。文科省が獣医学部新設を巡る規制緩和に抵抗していたとの批判があることについては「文科省は設置認可をする立場で、責任を自覚していた」と述べた。

さらに前川氏は、国家権力とメディアとの関係に言及する中で、獣医学部新設問題について「私に最初にインタビューしたのはＮＨＫだが、放送されないままで、いまだに報じられていない」と指摘した。



■　前川喜平
79年東京大学法学部卒業、文部省入省、86宮城県教育委員会行政課長、89年在フランス大使館一等書記官、92年文部省官房政策課政策調査官、93年官房政策課政策企画官、94年与謝野馨大臣秘書官事務取扱、95年教育助成局財務課教育財務企画室長、97年文化庁文化部宗務課長、98年高等局主任視学官兼中央省庁等改革推進本部事務局参事官、00年文部省教育助成局教職員課長、01年文部科学省初等中等教育局教職員課長、01年初等中等教育局財務課長、04年初等中等教育局初等中等教育企画課長、10年大臣官房総括審議官、12年官房長、13年初等中等教育局長、14年文部科学審議官、16年文部科学事務次官、17年文部科学次官退任。