遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

アントニオ・グテーレス 国連事務総長

2017年09月26日
私たちは、核兵器の使用によって人間と環境に及ぶ恐ろしい影響が、国境を越えて広がることを知っています。あらゆる国に、これら他に類を見ない破壊的兵器の廃絶を求める権利があるのは、そのためです。

同じ理由により、核軍縮は初の総会決議から、最近になって交渉が成立した「核兵器禁止条約」に至るまで、すでに70年以上もの間、国連にとって原則的な目標にもなってきました。核兵器の使用を免れる世界とは、核兵器自体がまったく存在しない世界に他なりません。このような世界を実現するという目標は、全世界で共有されていますが、この目標は最近、多くの挑戦にさらされています。

朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)は、一連の挑発的な核実験とミサイル実験を行い、緊張と拡散の危険をともに高めています。私は改めて、これらの行為を非難するとともに、安全保障理事会の今回の事態に対する断固とした対応と、平和的、外交的、政治的解決に向けた意欲を歓迎します。

私は、ロシア連邦と米国をはじめ、核兵器保有国がこれまで、それぞれの兵器備蓄量と、安全保障政策における核兵器の役割をともに削減すべく、多大な努力を行ってきたことを認めます。しかし、兵器の近代化に向けて大量の資金が投入され、新たな戦略兵器削減条約(START)後の兵器備蓄の削減が計画されていないことで、軍縮を進めることが難しくなっています。

核軍縮をどのように達成すべきかにつき、各国の間には依然として大きな意見の隔たりが見られます。20年にわたり軍縮会議が膠着状態にあることで、この亀裂はさらに深まっています。私たちが困難な状況に陥っていることは確かですが、だからと言って、より平和な国際社会を目指すという、私たちが共有する責任に背を向ける言い訳にはなりません。

核兵器禁止条約は、核兵器を保有しないという規範を強めることになります。規範の発展から先に歩を進めるためには、包摂的な対話、国際協力の再活性化、そして何よりも、検証可能な普遍的な核軍縮が必要です。核兵器のない世界に至る道はいくつもあります。核兵器保有国には、核兵器不拡散条約(NPT)の各再検討会議で合意されたものを含め、具体的なステップを踏むことにより、その先頭に立つ特別な責任があります。

しかし、核兵器のない世界は、グローバルな対応を必要とするグローバルなビジョンです。国連には、このビジョンを実現するため、皆様全員と協力する用意があります。これに貢献する責任は、どの国にもあるからです。


■ アントニオ・グテーレス
ポルトガルの政治家。第9代国際連合事務総長。同国の首相や社会主義インターナショナル議長、国連難民高等弁務官(UNHCR)などを歴任。