遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

宗像紀夫 元東京地検特捜部長

2018年06月14日
元東京地検特捜部長の宗像紀夫氏は、36年間の検察官生活の中でリクルート事件は、最も記憶に残る事件であると述べた。

宗像氏は、『値上がり確実な未公開株の譲渡が単なる「経済行為」なのか「贈収賄」なのかを取調べするにあたり、当時の江副会長やクルート関係者の抵抗も激しかった。真実の供述を求めて、取り調べでもギリギリの攻防があった。だから、江副会長は圧力的な取調べだと感じたほど、真剣勝負だった。』と当時を振り返った。

また、宗像氏は、江副会長の印象について「若くして独創的な事業を興し、リクルート社を築き上げてきた信念の人という印象。当時も今も悪い感情は全くありません。なかなか折れにくい「生木のような」意志の強い人」と述べた。

リクルート事件は、「出るくい」だから打ったわけではなく、あくまで川崎市助役の疑惑報道をきっかけに捜査した結果としながらも、民主党の小沢一郎幹事長の政治団体をめぐる事件で過熱するメディア報道に対しては、騒ぎすぎだと指摘した。また、検察官は昇進や出世のために人を起訴するわけではなく、例外なしに強い正義感で日々の困難な事件に取り組んでいると強調した。

宗像氏は、冤罪事件が増加する中、取り調べの全面可視化は避けられないとしながらも、これは乗り越えなければならない試練。正式な司法取引制度の導入など、何か対抗手段を考えてもいいかもしれませんと語った。

リクルート事件 昭和63年、リクルート側から当時の川崎市助役へ未公開株の譲渡が発覚。それがきっかけに元首相らに渡っていた未公開株や資金が明らかになり、同社会長だった江副浩正氏らが逮捕された。江副氏の供述などから、藤波孝生元官房長官ら10人を超える政治家や財界の大物らが収賄、政治資金規正法違反罪などで起訴、略式起訴された。江副氏は平成15年に懲役3年執行猶予5年の有罪判決が確定。「リクルート事件・江副浩正の真実」と「取調べの『全面可視化』をめざして」を出版、事件捜査を厳しく批判した。


■ 宗像紀夫
65年司法試験合格、68年検事任官、87年リクルート事件主任検事、92年東京地検特別公判部初代部長、93年東京地検特捜部長、95年大津地検検事正、96年最高検察庁検事、97年前橋地検検事正、99年最高検総務部長兼刑事部長、00年最高検刑事部長、01年高松高検検事長、03年名古屋高検検事長、04年検察庁退官、弁護士登録、中央大学大学院法務研究科教授、06年宗像紀夫法律事務所開設、株式会社フジマック監査役、株式会社エフェクター細胞研究所監査役、ばんせい証券株式会社監査役、12年公益財団法人日本相撲協会外部理事、12年中央大学大学院法務研究科退職、第2次安倍内閣で内閣官房参与就任。