遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

河合克義 明治学院大教授

2016年02月12日
明治学院大教授の河合克義氏は、多くの高齢者が「SOS」も発さず、じっと耐え続けていることが問題であると強調した。医療や介護が必要であるにもかかわらず、「つながり」を絶って孤立してしまう人も多い。それが1990年代に急増した「孤立死」や「餓死」の背景にあると河合教授は警告を発する。いまこの社会でいちばん弱い立場にいる人たちの生活に、もっと関心を持つことが重要であると述べた。

追い詰められたら生活保護を受ければいいと安易に考えがちだが、一人暮らし高齢者の生活保護捕捉率(実際に受けている人の率)はわずか2割、あとの8割は生活保護を受けていない。

高齢者の“老後破産”が深刻な状況になっている。厚労省によると、65歳以上の人が支払う介護保険料の滞納が急増している。収入が低くて払いたくても払えない。2012年度に徴収できなかった額は、過去最悪の272億円と29%も増えたという。滞納額が29%も増えるのは異常な状況である。このままでは将来、介護サービスを使えずに困窮する高齢者が続出してしまう。

高齢者の貧困問題を解消するためには、年金や福祉制度といった、直接的な部分だけを改善するのではなく、さまざまなジャンルにまたがる政策を考えて行く必要があるとした。


■ 河合克義 
49年北海道生まれ。明治学院大学大学院社会学研究科社会学・社会福祉学専攻博士課程修了。フランス・ナンシー大学客員研究員(81~82年)、明治学院大学社会学部長、副学長、港区政策創造研究所初代所長、総務省「都市部におけるコミュニティの発展方策に関する研究会」座長を歴任。NHK『無縁社会』『老人漂流社会』の番組制作に協力・出演。現在、明治学院大学社会学部教授、東京都生活協同組合連合会理事。専攻は地域福祉論。著書に、『大都市のひとり暮らし高齢者と社会的孤立』『福祉論研究の地平――論点と再構築』(以上、法律文化社)など。