遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

戸邉治朗 聖学院中学高等学校第11代校長

2019年03月08日
聖学院中学高等学校の戸邉治朗第11代校長は、「タイは、教育の格差が貧富の格差の固定化を生んでいる。子供たちの教育の機会の欠如が、国境や民族を越えて二つの国の社会の貧困の再生産や犯罪率の増加となり、社会不安につながる」と指摘した。

タイ政府は、2005年以降タイ国籍の有無に関わらずに移民労働者の子供たちが公立学校での義務教育を受けることを可能とした。しかし、移民の子どもの入学は校長の裁量に任されている。多くの移民労働者は、こうしたことを知らない。知っていても経済的理由や言語の問題、偏見差別等の理由から行かせられない。移民労働者の子供たちのための学校は地元のNGOや寺院やキリストの教会等が運営・支援しているが、こうした学校は、ミャンマー人の多いタイとミャンマーの国境であるメソトやバンコク近郊のマハチャイ等に限定されている。

戸邉第11代校長は、「貧困層の子供たちの教育問題だけをとっても、タイだけでは解決できる問題ではない。私たちにできるのは、国境を越えた貧困の再生産という負のサイクルを断ち切る地道な教育の機会の向上支援である」と語った。


■ 戸邉治朗
早稲田大学大学院修士課程(教育哲学)終了後に早稲田奉仕園主事補、70年~08年聖学院中学高等学校(英語科教諭・中学部長)、退職後タイ北部の養護施設(メーコックッファーム)顧問として4年間現地に在住し、無国籍の孤児や少数民族などの経済的に恵まれない子供たちの教育に携わる。12年聖学院中学高等学校・第11代校長、16年遠藤総合研究所厚生顧問等を歴任。