遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

アントニオ・グテーレス 国連事務総長

2019年05月25日
私は今年、エチオピアを訪問した際に、アフリカ34カ国からプログラミングを学びに来ている女子生徒の方々と会いました。こうした学生は単にスキルを上達させるだけでなく、性差による固定観念に挑み、低炭素の気候変動に強靭な未来に向けてアフリカ大陸を前進させるために欠かせない包摂的なデジタル技術を推進する存在でもありました。

アフリカの若者が持つ無限のエネルギーと楽観は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と整合し、ビジョンに富むアフリカ連合(AU)の「アジェンダ2063」の実施を通じ、この大陸を新たな持続可能な開発の時代へと導いています。

私たちは今年の「アフリカ・デー」にあたり、AU設立56周年を記念するとともに、アフリカの課題に対するアフリカの解決策を作り出すうえでAUが果たしている役割をたたえます。

2017年に事務総長に就任して以来、私は国連とAUの戦略的パートナーシップを優先的課題としてきました。国連とAUとの協力に飛躍的進歩が見られていることを誇りに思います。そのことは、国連・AU会議の年次会合への制度化にはじまり、平和と安全、持続可能な開発に関するAU国連枠組みの設置、さらにはAUが主導する平和支援活動のための協力に関する共同宣言にまで至っています。私たちは「紛争のないアフリカ」(Silencing the Guns by 2020)や「アフリカ女性リーダー・ネットワーク」をはじめ、予防と調停に関するAUの取り組みを強力に支援しています。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とAUの「アジェンダ2063」は、人々を中心とし、地球に配慮した変革を重視するという点で意思の確認ができています。貧困の根絶は、どちらのアジェンダでも最優先課題とされています。私たちは、2030アジェンダとアジェンダ2063を各国の開発計画の主流に組み込むため、密接に連携するとともに、アフリカ大陸自由貿易地域から新たな機会を引き出すための協力も行っています。

私は特に、AUが2019年のテーマとして「難民、帰還民と国内避難民(IDPs):アフリカにおける強制避難の恒久的解決に向けて」を選んだことを称賛します。難民の安全と尊厳を守るというアフリカの決意は、世界にとって模範となるからです。私たちはともに、強制避難を防止し、これに対応することをアフリカだけでなく、全世界で持続可能な開発アジェンダの中心的要素としなければなりません。

私たちはまた、今の時代を決定づける課題である気候変動への対処においても、AUやアフリカの加盟国と密接に連携しています。アフリカ大陸は、気候変動をほとんど助長していないにもかかわらず、その最も劇的かつ壊滅的な影響のいくつかを被っています。私たちが温室効果ガスの排出量を急減させない限り、気候変動はアフリカ全体の持続可能な開発と安全を根底から損なう深刻な影響を及ぼすことになるでしょう。

国連とAUの戦略的パートナーシップが改めて重視されたことによる成果は、すでに現れてきています。こうした強力な基盤を土台として、アフリカの自主性と相互の尊重、補完性、相互依存という原則に基づき、私たちの協力をさらに効果的、効率的かつ相互補強的なものとしていこうではありませんか。


■ アントニオ・グテーレス
ポルトガルの政治家。第9代国際連合事務総長。同国の首相や社会主義インターナショナル議長、国連難民高等弁務官(UNHCR)などを歴任。