遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

東南アジアにおけるCOVID-19の影響に関する政策概要

2020年08月17日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界の他の地域と同様、東南アジアでも保健や経済、政治に大きな影響を及ぼし、その被害は社会的に最も脆弱な立場に置かれた人々にとって最も深刻になっています。COVID-19の世界的大流行(パンデミック)は、根深い不平等やガバナンスの不足、そして持続可能な開発への道を進む必然性を明らかにしました。

また、平和と安全に関するものを含め、新たな課題も露呈させました。東南アジアでは封じ込めの対策が功を奏し、他の地域で生じているような苦難や困難は見られていません。各国政府は素早くCOVID-19パンデミックと闘い、その最悪の影響を回避するための対策を講じました。数多くの部門で、強固な域内協力もあります。

この危機の中で、国連は対応と復興に向けた取り組みを支援してきました。私たちは医療用品を提供し、社会的保護プログラムを支援し、帰還した移民を援助し、女性と子どもに対する暴力の急増に取り組んでいます。今後、東南アジア地域の復興に向けた計画では、4つの分野が肝心となります。

( 第1 )
所得や医療、社会的保護の不平等に、短期的な刺激策と長期的な政策変更で取り組むこと。
( 第2 )
ますますつながりを強める私たちの世界で、人々とコミュニティーが取り残されないよう、デジタル格差を縮めること。
( 第3 )
将来の雇用を創出し、依然として石炭その他過去の産業への依存度が高すぎる経済の脱炭素化を図るため、経済を「緑化」すること。
( 第4 )
いずれも効果的な対応に欠かせない要素として、人権を擁護し、シビック・スペースを守り、透明性を高めること。

こうした取り組みの中心にあるのは、ジェンダーの平等を前進させ、ジェンダーに基づく暴力の急増に取り組み、経済復興・景気刺激策のあらゆる側面で女性を対象とする必要性です。これによって、COVID-19パンデミックが女性に及ぼす不当に大きな影響が緩和されるでしょう。それはまた、すべての人にとって持続可能、迅速かつ包摂的な復興に向けた最も確実な道のりの一つです。

現状は景気後退と社会的緊張へと向かっています。すでに、ヘイトスピーチは増え、政治的プロセスは行き詰まり、以前から続く紛争の中には、膠着状態に陥ったり、悪化したりしているものもあります。東南アジア諸国の政府からはすべて、私のグローバル停戦に向けたアピールへの支持がありました。そして私は、東南アジアのあらゆる国が、この公約をそれぞれの地で有意義な変化へと変えていくものと期待しています。この地域には、すべきことがまだ多くあると同時に、活用できる素晴らしい能力も備わっているからです。

国連は、東南アジア諸国とのパートナーシップを全面的に重視し、同地域が持続可能な開発目標(SDGs)達成の見通しを立て、すべての人にとって平和な未来を構築できるよう、引き続き取り組みを支援していきます。


■ アントニオ・グテーレス
ポルトガルの政治家。第9代国際連合事務総長。同国の首相や社会主義インターナショナル議長、国連難民高等弁務官(UNHCR)などを歴任。