遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

潘基文 国連事務総長

2016年06月03日
今年の「世界環境デー」は、野生生物の違法取引という深刻な問題に必要なスポットを当てます。この問題に警戒すべき重大な理由があるからです。ゾウやサイ、センザンコウはそれぞれ象牙、角、鱗を手に入れるために殺されています。ウミガメやトラからシタンに至るまで、数千の野生動植物種が絶滅の危機に追いやられています。乱獲に関与する企業や個人は短期的な利益のみを狙い、コミュニティーや生息地にとっての長期的利益を蔑ろにしています。越境犯罪組織ネットワークや、国家の不安定化に積極的に関与する集団と共謀するケースも多く見られます。

国連とその多くのパートナーは、193の全加盟国によって昨年、採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」で、密猟に終止符を打つための明確なターゲットを定めるなど、この不正取引に取り組む決意を固めています。私たちは先月、ナイロビで開催された第2回国連環境総会で、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、および、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)の主導により、国連「Wild for Life(命のための闘い)」キャンペーンを発足させました。このキャンペーンはあらゆる方面に対し、野生生物の違法取引に終止符を打つことを約束するよう要請していますが、一般市民は禁制品を買わないこと、政府は生物種と生態系保護のための効果的な政策を通じて変革を追求することにより、これに貢献できます。

今年の「世界環境デー」でグローバル・ホスト国を務めるアンゴラは、違法な野生生物製品の販売を許さないという警告を発し、かつての内戦で壊滅的被害を受けたゾウの個体数を回復する取り組みの一環として、法規制と国境警備を強化しています。このような対策は、野生動植物種が持続可能な管理と違法取引からの保護を必要とする貴重な商品であるという強いメッセージを伝えるものです。

今年の「世界環境デー」にあたり、私は世界各地の人々と政府に対し、無関心を克服し、強欲と闘うとともに、今後の世代のために私たちの自然遺産を守るよう、強く訴えたいと思います。


■ 潘基文
第8代国際連合事務総長。大韓民国出身。第33代大韓民国外交通商部長官。第11回ソウル平和賞受賞。