遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

友田信男 東京商工リサーチ常務取締役情報本部長

2021年01月25日
東京商工リサーチ(TSR)の友田信男常務取締役情報本部長は、2021年度の企業倒産1万件、休廃業5万3,000件との予測を明らかにした。2020年(1-12月)の倒産は7,773件で、2年ぶりに前年を下回り、過去50年間で4番目の低水準となった。

新型コロナの影響もあり、20年の春先までは倒産は増加すると想定していたが、手厚い資金繰り支援策で倒産は抑制された。しかし、飲食業や宿泊業はコロナ禍で人の移動が制限され、老人福祉・介護事業でもコロナ感染を危惧した利用者の減少などで倒産が増加した。

倒産の原因は「販売不振」が全体の73.7%を占めた。また、「偶発的要因」(構成2.6%)の大部分は代表者の死亡・入院などの「後継者難」関連で、事業承継が上手くいかずに倒産する企業が増えている。倒産した企業の多くは負債額1億円未満、従業員10人未満で、小・零細企業が中心だ。新型コロナの影響を受けた小・零細企業のほとんどは再建できず破産を選択している。従業員被害数の合計は4万723人となった。

友田常務は「業種にもよるが、中小企業では、売上が2割減少すると多くの企業で赤字となる。資金供給が続けば倒産は抑制されるが、今後については厳しい見方をしている。コロナ禍で業績が悪化したままの企業に、銀行が短期借り換えに応じてくれないケースも出てきている。資金繰り支援は、反面では企業の過剰債務を招いた。こうした企業への対応を誤ると、倒産が高い水準に反転する可能性がある」と語った。

緊急事態宣言は、発出されていない地域にも影響を与えている。人の動きが減ることで交通機関、大消費地の東京で飲食店が時短営業となると、地方から東京に食材を卸している企業、生産者などにも影響が出る。休廃業・解散は、年間で約5万件。倒産と合わせると、20年は5万7,000件程度の企業が市場から消えた。コロナ禍で変動要因は大きいが、21年の企業倒産は1万件、休廃業解散は5万3,000~5,000件を想定している。


■ 友田信男
80年東京商工リサーチ入社、福岡支社情報部長、北九州支店長、本社情報部長、同統括部長、副本部長を経て、11年取締役本部長、15年常務取締役情報本部長。07年財団法人企業共済協会「企業倒産調査年報」検討会委員、08年参議院経済産業委員会参考人招致(リーマン・ショック後の中小企業動向について)、11年参議院経済産業委員会調査室客員調査員等を歴任。