遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

山田久 日本総合研究所副理事長

2021年02月03日
日本総合研究所の山田久副理事長は、コロナ禍の経済的な影響について、当面は「9割5分経済」の状態が続くだろうと指摘した。10割の水準には回復せず「雇用や賃金に調整圧力がかかり続ける」と語った。

足元の雇用情勢では、予想ほど上昇していない失業率について「統計に表れない状況が裏にある」と述べた。非正規社員や30~40代の女性らが職を失って就業者が減少する一方で、休業者や就業時間の短縮化が急増している現状を説いた。また、業種でも飲食や宿泊業など「特定分野にしわ寄せが起こり、立場の弱い人に集中している」と指摘した。今後さらに失業率が上昇して、回復は来年半ば以降になると予想した。雇用調整を抑えるために、賃金を削減する動きも広がっているとした。

政策については、雇用調整助成金の特例措置の導入は早かったが、運用面の問題から「厳しい時期にあまり効果を上げていない」と強調した。構造的に救えない人が多いうえ、中長期的にも「産業構造を固定化させる副作用がある」とした。「第2の雇用保険」を整備する必要性や「弱者救済よりも敗者復活」を主眼とした北欧の実例を挙げ、就業支援や能力開発の重要性も訴えた。

さらに、コロナ禍は「経済社会の構造を変えることにつながる」と中長期的な視点を提示した。コロナ後は国際貿易の活発化が望めず、賃金上昇が前提となる「内需成長が問われる」とした。人手不足など業種間のばらつきが鮮明であり、企業・産業間の「シェアリング型一時就労」を進めることなどによって、労働市場で「日本型の失業なき流動化を図っていく必要がある」と述べた。


■ 山田久
87年京都大学経済学部卒業、87年住友銀行(現三井住友銀行)入行、91年日本経済研究センター出向、93年日本総合研究所調査部出向、98年同主任研究員、03年法政大学大学院修士課程(経済学)修了、03年日本総合研究所 経済研究センター所長、05年同マクロ経済研究センター所長、07年同ビジネス戦略研究センター所長、11年同調査部長/チーフエコノミスト、15年京都大学博士(経済学)、17年日本総合研究所理事、19年日本総合研究所副理事長。