遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

亀井静香 元金融相

2019年08月27日
リーマン・ショックを契機に中小企業の資金繰り支援のために2009年12月 当時の亀井静香金融相主導で立法化された中小企業金融円滑化法(通称モラトリアム法)は、3月末で終了した。返済猶予した企業を不良債権ではなく正常債権として区分できる「金融検査マニュアル」の例外規定は残る。

同法は、金融機関が融資先に対する返済猶予や金利減免などのリスケジュール(債務返済の繰り延べ)を通して、中小企業の返済負担を軽減するもの。その承諾の判断は、あくまで金融機関に委ねられた。金融庁が金融機関に実行件数の報告義務を課したことで、融資先が赤字でも承諾せざるを得なかった。同法の実行率は約95%であり、ほぼ無条件で要請に応じてきた。
 
時限立法の金融円滑化法は、一度の延長を経て2013年3月末で終了した。その後も金融庁は、金融機関に任意で実行報告を求めたことから、実質的に同法は継続されてきた。法的根拠を失ったのにもかかわらず、終了後でも申し込みは500万件を超え、実行率はなんと9割を超えた。
 
その結果、旧来のビジネスモデルを温存したままの救済策が企業の新陳代謝を阻み、ゾンビ企業の増殖を招いたことは否めない。リスケ先の5割程度が業績は改善せず、正常先債権への格上げは4割にも満たないのが実状であり、水面下では中小零細を中心に「倒産予備軍」が着実に膨れ上がっている。

帝国データバンク調べによる金融機関から返済条件の変更等を受けた企業の「返済猶予後倒産」は、2013年3月の金融円滑化法終了直後に急増した。2019年上半期(2019年1月~6月)は、256件と前年同期を24.9%も上回り、増加の兆しを見せている。
 
さらに、この返済猶予後倒産はあくまでリスケを受けていたことが確認できたものであり、対象が零細規模、それも破産処理が大半を占めていることから確認できないケースが少なくなく、この件数はあくまで氷山の一角と見られる。
 
いずれにしても、金融機関から長期にわたって資金支援を受けてきたにもかかわらず、抜本的な事業再生が進まないまま追加融資も困難となり、事業継続を断念する「返済猶予後倒産」は、今後も増加傾向にある。


■ 亀井静香
遠藤寛 第十七代当主遠藤宗家と都立大泉高校の同窓生。MJSソーラー株式会社代表取締役会長。階級は警視正(警察庁退官時)。 衆議院議員を13期務め、運輸大臣(第69代)、建設大臣(第64代)、自由民主党政務調査会長(第43代)、国民新党代表(第2代)、内閣府特命担当大臣(金融担当)等を歴任。