遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

マティアス・コーマン OECD事務総長

2021年12月03日
経済協力開発機構(OECD)のマティアス・コーマン事務総長は、3日に公表した対日経済審査報告書に示したは物価の先行きについて「見通せる範囲内では、2%の物価目標を下回ったまま」とした。

その一方で「商品価格の上昇、国際輸送費用の急激な上昇や昨今の円安が輸入価格の上昇圧力となっているため、人々の物価見通しも、経済動向に伴い実際の物価上昇率が上がった場合は上昇していくとみられる」と指摘した。「金融緩和策を早計に縮小させないことが適当である」と提言した。

財政政策については、金利上昇によって債務が「雪だるま式」に増えるリスクに懸念を示し、財政健全化の必要性に言及した。「日本政府の債務に対する近年の純利払は、債務残高が上昇しているにも関わらず、国内総生産(GDP) の1%以下になっているが、近年の超低金利状態は、日本銀行の長短金利操作付き量的質的金融緩和の影響を強く受けたものである」と指摘した。

その上で、財政健全化の手法として4点のシナリオを提示した。1)2023年から消費税率を毎年1%ずつ20%まで引き上げる、2)23年から32 年まで炭素税をトン当たり4000円まで引上げる、3)デジタル化による社会保障費用の改革で23年から20年間かけて歳出効率を10%改善する、4)25年から30年間かけ年金受給開始年齢を65歳から75歳に引上げるとした。

マティアス・コーマン事務総長は、消費税率の引き上げの必要性について「税率を上げなくても税収を増やすことができる」とし、財政再建に必要な政策手段は「民主的に選ばれた政府が判断すべき」と述べた。


■ マティアス・コーマン
21年経済協力開発機構(OECD)第6代事務総長。13年オーストラリア予算大臣、17年上院与党院内総務、18年行政管理担当大臣等を歴任。