海部俊樹元首相（91歳）が9日午前4時、老衰のため都内で死去した。葬儀・告別式は近親者のみで行われた。喪主は長男正樹氏。故人のご遺志により、自民党葬などは執り行わない。

89年8月に首相に就任し、2年3カ月ほど在任した。愛知県出身。葬儀は近親者で行われた。参院選に大敗した宇野宗佑元首相が退陣した後を受け、第76代首相に就任した。昭和生まれ初の首相。小派閥の三木派、河本派（その後に山東派を経て現・麻生派に合流）に所属した。

イラク軍のクウェート侵攻による91年の湾岸戦争を巡り、多国籍軍の戦費負担として総額130億ドルの拠出を決めた。停戦後には、ペルシャ湾に機雷を除去する海上自衛隊の掃海艇を送った。自衛隊は、初の本格的な海外任務となり、この教訓が国連平和維持活動（PKO）参加につながった。

内政では、政治改革を掲げるものの、小選挙区制の導入を柱とする関連法案は自民党内をまとめられず廃案になった。海部元首相は、衆院解散の構えをみせたが竹下派（現・茂木派）の支持を得られず、91年10月に退陣表明に追い込まれた。60年に衆院旧愛知3区から初当選し、衆院議員を16期49年にわたり務めた。三木内閣の官房副長官、福田赳夫、中曽根両内閣の文相等を歴任した。

羽田内閣の総辞職に伴う94年の首相指名選挙では、与党だった非自民系に擁立された。決選投票で自民、社会、新党さきがけの3党が担いだ社会党の村山富市委員長に敗れた。同年に結党した新進党の初代党首に就任した。03年の自民党復党後、09年の衆院選で落選して政界を引退した。11年春の叙勲では、桐花大綬章、名誉愛知県民章を受章した。

遠藤　潔は、海部元首相が最高顧問である一般社団法人中央政策研究所の総務部長としてお支えした。中央政策研究所は、「日本国における政治、経済、社会に関する政策の樹立の基礎となる諸般の問題の基本的かつ総合的な調査研究を行い、その成果を発表普及し、国家の発展と国民の福祉の向上に寄与すること」を目的として、63年6月に設立された。

国民と共に心から哀悼の意を表し、謹んでご冥福をお祈り申し上げる。

※画像：海部俊樹　第76・77代内閣総理大臣（桐花大綬章着用）


【　弔問記帳　】
場　所：一般社団法人中央政策研究所
　　　　東京都千代田区永田町2-9-8　パレ・ロワイヤル永田町901
電　話：03-3581-5552


■　海部俊樹
第76・77代内閣総理大臣。勲等は桐花大綬章。衆議院議員（16期）、労働政務次官（第1次佐藤第2次改造内閣 - 第2次佐藤内閣）、内閣官房副長官（三木内閣）、自由民主党国会対策委員長（第21代）、文部大臣（第98・107代）、自由民主党総裁（第14代）、大蔵大臣（第95代）、新進党党首（初代）等を歴任。国際天文学連合（IAU）会長の海部宣男、08年ノーベル物理学賞を受賞した小林誠の従兄。