遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

中満泉 国連事務次長(軍縮担当上級代表)

2022年07月29日
国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)は、ロシアによるウクライナ侵攻による核リスクが高まる中、8月1日ニューヨークの国連本部で7年ぶりに開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議開幕前に「リスクを軽減し、核不使用を再確認し、軍縮の方向に再び戻るための第一歩として欲しい」と訴えた。約190カ国・地域の政府代表が核軍縮や核不拡散の道筋を話し合い、最終文書を採択できるかどうかが最大の焦点となる。

中満事務次長は「核兵器をめぐるリスクは、冷戦の最盛期とほぼ同じくらい高い」と指摘した。会議の見通しを「非常に厳しい」と認めつつ「(核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用という)NPTの3本柱のバランスが取れた合意を、初期段階から目指すことが必要だ」と強調した。その上で、核保有の透明性向上をはじめとするリスク軽減に向けた具体的方策などでの合意形成を促した。

2015年の前回会議は中東の非核化などで意見が対立し、最終的な成果文書で締約国が一致できない事態が懸念されている。今回はウクライナ情勢が大きな障壁となる上に、この6月に第1回締約国会議があった核兵器禁止条約を巡る非保有国と保有国の間の溝も深い。2回連続の決裂回避へ各国の歩み寄りが課題となる。中満事務次長は「これだけ締約国が多く普遍的で、50年以上安全保障の一つの要として非常に効果のあった条約が、すぐに形骸化し誰も注目しない状況になるのは考えにくい」と述べた。 


■ 中満泉
国連軍縮担当事務次長・上級代表。早稲田大学法学部卒業。アメリカ・ジョージタウン大学大学院修士課程(国際関係論)修了。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)旧ユーゴスラビア国連事務総長特別代表上級補佐官、UNHCR副高等弁務官特別補佐官、国連本部事務総長室国連改革チーム・ファースト・オフィサー、International IDEA(民主主義・選挙支援国際研究所)官房長、企画調整局長、国連PKO局政策・評価・訓練部長、国連PKO局アジア・中東部長、国連開発計画(UNDP)危機対応局長など歴任。