遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

アントニオ・グテーレス 国連事務総長

2022年10月13日
気候災害は、かつてないほど各国とその経済に打撃を与えています。増え続ける温室効果ガスの排出量が、地球上のあらゆる場所で、異常気象に拍車をかけています。

私は、パキスタンで最近発生した洪水がもたらした惨状を直接目の当たりにしました。こうした災害の増加によって人命が犠牲となり、何千億ドルもの損失と損害が発生しています。

気候災害によって住まいを追われる人々の数は、戦争の3倍にのぼります。人類の半数がすでに危険地域にいます。世界は、最前線にいる人々の命と生活を守るための投資を怠っています。気候危機の原因に最も関与していない人々が、最も大きな代償を払っています。

さまざまな場所で住民全体が、事前に警報を受けるすべもなく、連鎖的な気候災害に無防備なところを襲われています。人々は、異常気象に備えるために適切な警報を必要としています。

私が、今後5年間に全世界で早期警報システムを整備するよう求めている理由はここにあります。早期警報システムと、それに基づいて行動する能力は、命を救うことが証明されています。

このことは、世界気象機関(WMO)と国連防災機関(UNDRR)が本日発表した新たな報告書に、明確に示されています。この報告書は、早期警報システムによるサービスが、最も必要としている人々にとってあまりにも不足している実態を明らかにしています。

私は、エジプトで開催される国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)において、5年以内にすべての人々に早期警報システムを提供するための行動計画を発表する予定です。

私はすべての政府、国際金融機関、市民社会に、これを支持することを強く訴えます。この新たな報告書は、損失と損害に対する現実的かつ具体的な行動を世界的な優先事項とせねばならないということを、改めて意識させるものです。損失と損害に関してCOP27で成果を上げることは、先進国と開発途上国の間の信頼を再構築するための重要な試金石となるでしょう。

今年の「国際防災の日」にあたり、私はすべての国に対し、早期警報システムに投資し、適切なシステムと手立てを持たない人々を支援するよう求めます。異常気象は必ず起こります。しかし、それが致命的な災害となる必要はないのです。


■ アントニオ・グテーレス
ポルトガルの政治家。第9代国際連合事務総長。同国の首相や社会主義インターナショナル議長、国連難民高等弁務官(UNHCR)等を歴任。96年ブラジル南十字星勲章大十字、97年ポーランド共和国功労勲章大十字、98年ウルグアイ東方共和国勲章大将校、99年メキシコアステカの鷲勲章特別懸章、00年ベルギーレオポルド勲章大綬章、スペインカルロス3世勲章大十字、ギリシャ名誉勲章大十字、01年イタリア共和国功労勲章大十字、01年チリ功労勲章大十字、カーボベルデアミルカル・カブラル勲章1級、16年ポルトガル自由勲章大十字、02年スペインイザベラ・カトリック女王勲章頸飾、ポルトガルキリスト勲章大十字、フランス国家功労勲章大十字、ポルトガル南十字星勲章大頸飾、日本旭日大綬章、チュニジア共和国勲章大綬章、イタリアヤロスラフ賢公勲章1等等を受章。