遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

宮本雄二 元駐中国大使

2024年06月17日
元駐中国大使のの宮本雄二日本アジア共同体文化協力機構理事長は、日本企業が中国市場からの撤退が相次いでいることについて「中国市場は世界で最も競争が激しい市場である。1990年代から2000年代にかけての『中国に進出さえすれば、どんな会社でも儲かった』時代は過ぎた。中国からの相次ぐ撤退は、市場競争についていけない負け組企業が退場しているだけである。競争力を維持している勝ち組企業は対中投資を続けている」と指摘した。

さらに「中国市場は巨大であり、リターンも大きい。かつて地方政府が地元企業保護のために外国企業の進出を妨害する動きもあったが、最近は中央政府がそうした外資排除を許さない姿勢を示している。競争力がある企業は積極的に投資すべきである日本企業の新たな業種では、飲食店チェーンなどのサービス業が競争力が非常に高く、中国進出が加速している」と語った。

中国経済のデカップリング(経済分断)については「2008年以降に中国で国粋主義的な世論が盛り上がり、政府もそちらの方向へ世論誘導するなど西側諸国とのデカップリングとも見える動きもあった。しかし、中国政府の上層部は自国経済が世界経済に100%組み込まれていることを明確に理解している」との見方を示した。

2023年の中国の輸出総額は、前年比で4.6%減少した3兆3800億ドルに留まった。西側と中国との経済的関係が、前年と比べて4~5%程度減少した。対米輸出額は13.1%の減少、対EU輸出額は10.2%の減少、対日輸出額は8.4%の減少となり、1年で1割前後の縮小となっている。このように、西側と中国との経済的関係は、想像以上に大きく落ち込んでいる。ドイツでさえも、中国からの輸出は13.0%も落ち込んでいる。

宮本理事長は日中関係について「低迷する経済力とは裏腹に国際政治上の日本の重みは増しており、中国も日本との関係改善を望んでいる。実務レベルでの日中対話は一時より進んできた。領土問題や歴史認識については、衝突が起こると関係は悪化する。政府は対中基本戦略をしっかり固め、政治・外交や経済、文化、民間交流を含めた包括的な視点で動くべきだ」と述べた。


■ 宮本雄二
69年外務省入省、78年国際連合日本政府代表部一等書記官、1981年在中華人民共和国日本大使館一等書記官、1983年外務省欧亜局ソヴィエト連邦課首席事務官、85年外務省国際連合局軍縮課長、87年外務大臣官房外務大臣秘書官事務取扱、89年外務省情報調査局企画課長、90年外務省アジア局中国課長、91年イギリス国際戦略研究所研究員、92年外務省研修所総括指導官・副所長、1994年アトランタ総領事、97年在中華人民共和国日本大使館特命全権公使、01年軍備管理・科学審議官組織軍備管理・科学審議官(大使)、02年駐ミャンマー特命全権大使、04年沖縄担当大使、06年駐中特命全権大使、10年退官、日本日中関係学会会長、10年外務省顧問、12年公益財団法人日中友好会館副会長、20年瑞宝重光章受章。