遠藤潔の活動報告

第十八代 遠藤宗家 遠藤潔

李軍華(リ・ジュンファ) 国連経済社会問題担当事務次長

2024年07月11日
『世界人口推計2024年版:結果の概要』の発表を受け、国連経済社会問題の李軍華(リ・ジュンファ)担当事務次長は「近年、人口動態の状況は大きく変化してる。今や一部の国では、出生率が以前の予測を下回っており、また、出生率が高い地域においても、出生率の低下がわずかながら加速している。世界人口がピークに達する時期が早まり、ピークの山が低くなることは、希望の持てる兆候。総消費量が減少することで、人為的な影響による環境への圧力を軽減する可能性がある。しかし、人口増加が減速するも、一人ひとりの活動がもたらす平均的な影響を削減する必要性がなくなるわけではない」と述べた。

世界の人口は、今後60年間で増加し、2024年の82億人から2080年代半ばには103億人でピークに達する見込みである。その後、今世紀末までに102億人になると推計されている。2100年の世界の人口規模は、10年前の推計より6%、人口にして7億人減少すると見込まれている。

世界人口がピークに達する時期が早まることについてはいくつかの要因があり、中でも人口規模の大きい国々、特に中国において、近年出生率が予測を下回っていることがその一つである。世界全体では、1人の女性が生涯に産む子ども数は、1990年頃と比べて、平均して1人減少している。世界の半分以上の国と地域において、女性1人当たりの平均出生数は、長期的に人口が一定の規模を維持するのに必要な水準(移民の流入がない場合)である2.1を下回った。現在、中国、イタリア、韓国、スペインを含む世界の約5分の1の国と地域で、女性が生涯に産む子ども数が1.4を下回っている。こうした状況は、しばしば「超低出生」と呼ばれている。

2024年時点で、中国、ドイツ、日本、ロシア連邦を含む63の国と地域では人口がピークに達していて、これらの国と地域の人口は今後30年間に14%減少すると推計されている。また ブラジル、イラン、トルコ、ベトナムを含む48の国と地域では 2025 年から2054年の間に人口がピークに達すると見込まれている。インド、インドネシア、ナイジェリア、パキスタン、米国を含む残りの126の国と地域においては、2054年以降に人口がピークに達すると見込まれている。この最後のグループのうち、アンゴラ、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ニジェール、ソマリアを含む9つの国と地域においては、人口増加のスピードが非常に早く、2024年から2054年の間に人口は倍増すると推計されている。

若年齢での出産は、特に低所得国において引き続き課題となっている。2024年には、全世界の約3.5%にあたる470万人の子どもが、18歳未満の母親から生まれた。このうち約34万人は15歳未満の女児から生まれており、こうした状況は若い母親とその子どもの健康とウェルビーイングに深刻な悪影響を及ぼすこととなっている。

報告書によれば、結婚や第一子出産といった人生の節目となるイベントを早く経験する傾向にある国々において、若者、とくに女子の教育に投資し、これらのイベントを経験する年齢を引き上げることは、女性の健康、教育達成、労働参加に好ましい影響をもたらしている。第一子の出産年齢の引き上げは人口増加の抑制に寄与し、誰も取り残されないようにするために必要な投資と取り組みの規模を縮小させることができる。

過去30年間で死亡率は低下し、平均寿命は大幅に延びている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック期間中に一時的に低下したものの、世界の平均寿命は再び上昇し、パンデミック時の70.9歳から2024年には73.3歳に達した。2050年代後半までに、世界全体の死亡の半数以上が80歳以上の年齢で発生すると見込まれている。世界全体の死亡者に占める80歳以上の割合は、1995年には17%であった。

2070年代後半には、世界の65歳以上の人口は子ども(18歳未満)の数を上回ると予測され、80歳以上の人口は、2030年代半ばにはすでに乳幼児(1歳未満)の数を抜くと予測されている。まだ人口が急増中で、比較的若い国々でも、65歳以上の人口は2054年まで増加すると予想されている。


■ 李軍華(リ・ジュンファ)
85年中国外交部入省、01年国際連合事務局大会・安全保障理事会事務局長、03年中国常駐国際連合代表団政治事務担当公使参事官、08年国際局副局長、10年駐ミャンマー中国特命全権大使、22年国連経済社会局事務次長。